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「HHH(スリーエイチ)の会」の実質的なスタートとなる第2回目の会合として、2016年4月22日にロート製薬株式会社 大阪オフィス会議室にてワークショップを開催しました。
参画企業各社の担当者が一堂に会し、前回のフォーラムを踏まえて、健康経営推進における課題や「健康」の定義について、改めて議論を深め共有する機会となりました。

冒頭に、HHHの会の座長である神戸大学経営学研究科 教授の金井壽宏氏より、前回のフォーラムを概観した振返りを共有された上で、今回のワークショップの目的を紹介されました。一つ目の目的は、前回のフォーラムを踏まえての問題意識をさらに共有して深めていくこと、二つ目の目的は、われわれが目指す健康経営における「健康」という言葉のイメージについて共有することであると説明がありました。

アドバイザーとして参加いただいたNPO法人健康経営研究会 理事長の岡田邦男氏からは、今までは、経産省が主導して大企業を中心に健康経営が進められてきたが、これからはいよいよ中小企業に向けた取組みが本格化してきているという動きを紹介された上で、HHHの会での各社の取組みの発信が大きな意味を成してくるという期待を語っていただきました。

同じくアドバイザーとして参加いただいた神戸大学名誉教授の加護野忠男氏からは、経営学のスタートに関与したアメリカのフィラデルフィアにある紡績工場での取組みや有名なホーソン実験について紹介され、そこで生産性が上がり定着率が高まった理由にこそ、健康経営のヒントがあることを示唆いただきました

 

0422HHH6次に、改めて、HHHの会副座長である武蔵大学 経済学部 准教授の森永雄太氏より、前回のフォーラムでどのような課題提議があったのかをまとめつつ、ワークショップの進め方について説明があり、早速、5~6名のグループ毎に一つ目のワークをスタートしました。

1つ目のワークでは、前回のフォーラムを経て、新しい発見・目から鱗と感じた視点、自社に取り入れられそうだと感じた、そんな「すっきりポイント」と、まだスッキリしていない点やこれから健康経営を導入推進していくにあたって議論したい「もやっとポイント」について共有しました。

各グループからは、「すっきりポイント」として、健康の定義を共有すること、トップのコミットが鍵であること、社員に参画意識を共有していくことが重要だという点などが上げられました。一方、「もやっとポイント」としては、何を指標とすればよいのか?どうやって巻き込んでいくのか?という点での戸惑いが多くあげられました。

これらに対し、金井先生からは、健康ってやっぱり大事にしたいという気持ちを皆が持っているはずなので、皆のための取組みとしてうまく合意を取りながら実施できるといい、という提案がありました。

また、岡田先生からは、産業医の立場から、そもそも労働契約上の労務の提供と賃金支払い義務があって、その真ん中に安全配慮義務というのがあり、ここで健康経営が成り立っているという指摘がありました。疾病の有無ということではなく、企業が健全な労務の提供をもらうためには、従業員をプロとして育てるということとともに、そのプロが元気で退職まで働いてもらうような施策を取っていく責任がある、そこに健康経営があるのだと整理いただきました

森永先生からは、ワークライフバランス等の施策も関連するのではとの意見があったことを受け、健康と生産性の両立に関する先行研究はまだほとんど見当たらないものの、健康経営も含めて、従業員を巻き込んでいくような施策は様々なものが合わさって従業員の健康や幸福感などにつながっていくという議論も必要だという示唆を提供されました

 

0422HHH52つ目のワークでは、前回のフォーラムで様々な「健康」の捉え方があることが浮き彫りになったことを受け、自社が目指す「健康な社員」とは?というテーマで、グループディスカッションを通して議論を深めました。各グループからは、イキイキ、活力、夢や目標、幸福、といったワードがあげられました。

岡田先生からは、健康の定義として、WHOは身体的、精神的、社会的な健康を言うが、経営者から見ると、体力があり、免疫力があり、生活習慣が良好で、メンタルタフネスがあり、コミュニケーション能力があり、モチベーションが高く、労働生産性が高く、実践力が高い、そんな社員を健康と捉えているとした上で、自身の定義として「賃金に見合った、もしくはそれ以上の労働生産性を定年まで出し続けてくれる社員であって、定年後企業を支えてくれる社員」というのが健康経営で定義している社員であると持論を紹介されました。だから、会社が健康経営という投資をして、そのような社員を作っていくことが、会社のサスティナビリティ(永続性)に繋がっていくのだと説明されました。

金井先生からは、健康を語るキーワードとして「つながり」や「コミュニティ」の重要性について問題提議がされました。会社への誇りや職場への愛着といった要素が、健康経営を考える上でも無視できないものであると同時に、健康経営を推進・浸透させていくプロセスにおいても重要であろうとの示唆がありました。

その後、7月から実際に各社が取り組む共通施策である「健康100日プロジェクト」と、その事前事後に行う質問紙調査について事務局及び森永先生より説明し、今後のスケジュールの確認をしました。

最後に、主催者であるAPO研代表理事の石見一女氏より、健康経営とは、いきいきとした従業員づくりが根本の目的にあり、健康はその手段であると従来から考えていたが、今日の議論がまさしくそういう方向に向かっていることを感じたとの感想がありました。この議論をこの場だけに留めず、ここから皆さんが取り組まれる実績をもって、本当に健康経営が経営にとっても有益なものだという発信がしていければとの期待を語り、閉会となりました。

【第2回】HHHの会 ワークショップ レポート